私はライターとして働いていた経験があります。書くことが好きでしたし、評価もされ、「これが私の道だ」と感じたことがあります。ところが、ある時から「ちょっと違うかも」と思うようになりました。結論をいえば、ライターといえど守備範囲はとても広いです。自分の適正をよく見極めてみてくださいね。
大前提、書くことは好きでも・・・

「ライターの仕事」と一言でいっても、実際にはさまざまなタイプがあります。私自身、これまでライターとして活動してきて、両極端な感情を味わってきました。「すごく楽しい!やりがいを感じる!」と思える時もあれば、「正直、書きたくない。辛い」と思ってしまう時もあったのです。なぜ文章を書くこと自体は好きなのに、仕事になると辛くなるのか。今回はその理由を自分なりに解剖してみたいと思います。
ライターが辛いと感じるのは「フィードバック」の質
ライターという仕事をしていると、必ずと言っていいほど「フィードバック」を受けます。自分一人で好きに書いて、評価をもらえるようなライターはあまりいないかと思います。ともかく、依頼主や上司の方などから、「ここは良かった」「欲を言えばここを修正してほしい」など、意見をいただくことは当たり前に発生すると思います。
私がこれまでライターを経験してきて、このフィードバックこそが辛さの明暗をわけるものだと思っています。とはいえ、大前提として建設的な意見をもらうことはむしろありがたいことです。「ここはもっと熱意たっぷりにしたい」とか「これだとワクワクまでは感じないのでスルーされそう」など。
しかし、中にはこんなケースもあります。ある時、私は納品した文章に対して“1000文字近い長文”で構成の指示を返されたことがありました。実質的には「この構成で書き直してください」というもの。その瞬間、私はものすごく辛さを感じました。まるで「言われた通りに書く作業員」にされてしまったような感覚だったのです。
「任せてもらえない仕事」はアイデア型ライターにとって地獄
私自身は、アイデアを出したり、提案をしたりするのが好きなタイプです。しかし、フィードバックが「完全に固定された構成で進めてください」というスタンスだと、ライターはただの代筆者になります。いえ、作業者みたいなものでしょうか。そこにライターの個性や技術はそこまで求められていないともいえます。
これは人によっては「楽」かもしれません。考えずに手を動かせばいいからです。ただ、クリエイティブにやりたいライターにとっては「辛い」の一言。「面白くない」「自分じゃなくてもいい仕事だ」と思ってしまうと、モチベーションは一気に下がりますよね。
我慢や妥協も必要だけれど・・・
もちろん、ライターとして仕事をしていく以上、妥協や調整は必要です。そもそも、好きなこと「だけ」100%という仕事は、雇われである以上ほぼありえません。いえ、自営業でもありえません。それは仕事ではなくて、趣味でしかありませんから。すべて自分の好きなように書ける仕事ばかりではないのです。
ただし、骨の髄まで「これは無理だ」と感じる案件は、無視しない方がいいと私は思います。なぜなら、それはあなたに適していない仕事だからです。そもそも、ライターの世界は広く、案件の種類も多種多様です。自分が辛いと感じる状況を正しく理解し、環境を変えたり、人に相談したりしながら、自分に合った形を探していくことが大切です。
とはい、じゃあどうすればいいの?今、辛いんだ・・・という方もいらっしゃるかと思います。いわゆる、キャリアステップの話ですね。
ライターをやめたい、でも次のキャリアステップは?
「ライターが辛い、やめたい」と思ったとき、次のキャリアをどうするか悩む人は多いです。私自身の経験からお伝えすると、ライターからのステップアップにはいくつかの道があります。
まず、編集者へのステップは意外と難しい
よく言われるのが「ライターから編集者へ」というキャリアです。しかし、実際はなかなかハードルが高いのが現実です。なぜなら、編集者に求められるのは「書く技術」ではなく、企画力や営業的なスキルだからです。ライターは「文章を書くこと」に誇りを持っている人が多いですが、それが直接的に編集者の評価軸にはなりにくいのです。
「書く力」が生きるのは売上に直結する仕事
では、ライターとして培った「書く力」がもっとも活きるのはどこか。それは、売上に直結する領域です。たとえば、商品の魅力を伝えるコピーライティングや、顧客を動かすセールス文章は、まさにライターの強みが最大限に発揮されます。職種はいろいろあるかと思いますが、私の経験上、ウェブプロモーションはとてもおすすめです。
プロモーション・ウェブマーケティングはおすすめの道
特におすすめしたいのは「プロモーション」や「ウェブマーケティング」の仕事です。なぜなら、ここでは「文章力」が直接的に成果に影響するからです。私自身、プロモーションに携わってきましたが、ライター経験が大いに役立ちました。
しかもプロモーションの仕事は、必ずしも人前で話す必要がありません。文章や仕組みで勝負できるため、「喋るのは苦手だけど文章なら得意」というライター気質の人に向いている分野です。
まとめ:「辛い」と感じても、ライター経験は無駄にならない
ライターとして辛い経験をしたからといって、そのキャリアが無駄になるわけではありません。むしろ「文章で人に伝える力」は、多くの仕事で応用が利きます。
- 編集者は必ずしも次のステップではない
- 書く力は「売上を作る仕事」で最大限に活きる
- プロモーションやウェブマーケティングは特に相性が良い
こうした状況に当てはまるなら、それはあなたに合っていないスタイルかもしれません。「書くことが好きなのに辛い」と感じた時は、自分の適性を見つめ直し、無理のない働き方を選ぶことが、長く続けるための鍵になるのです。「ライターをやめたい」と思ったときこそ、自分の強みを冷静に見直すチャンスです!
個人的な小話
ライターと一口で言えど、いろいろな価値観で天国にも地獄にもなります。そんな私はなんだかんだで、ライターという仕事を愛おしく思います。日本人であれば、読み書きはほぼ誰だってできますよね(義務教育のおかげです)。もはや、誰もが当たり前にやっていることを「専門」として仕事にできるわけですから、ライターは特別だと思っています。参入障壁が低いですが、その分、求められる技量は高いというのは当然かもしれません。この貴重な仕事を経験できたこと、私は誇りに思っています。辛いことも時にありますが、己を磨くチャンスでもあるととらえ、私は日々勤しんでいます。ライターのあなたに幸あれ。
