レビヤタンとは? 聖書と古代文献から読む「海の怪物」の正体

    聖書を読むと、聞いたことのない動物がサラッと出てきます。それが「レビヤタン(Leviathan)」という海にいる怪物。一体何者なのか? 混沌や巨悪さの象徴とも見えますし、かつては本当に存在した生き物なのかもしれません。このあたりから、レビヤタンの正体を探っていきます。

    INDEX

    聖書におけるレビヤタン

    詩篇にて

    レビヤタンとは
    ギュスターヴ・ドレ製作の版画|https://ja.wikipedia.org/wiki/レヴィアタン

    神はいにしえからわたしの王であって、 救を世の中に行われた。 あなたはみ力をもって海をわかち、 水の上の龍の頭を砕かれた。 あなたはレビヤタンの頭をくだき、 これを野の獣に与えてえじきとされた。

    旧約聖書 詩篇 74:12-14

    かしこに大いなる広い海がある。 その中に無数のもの、大小の生き物が満ちている。 そこに舟が走り、 あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる。 彼らは皆あなたが時にしたがって 食物をお与えになるのを期待している。

    旧約聖書 詩篇 104:25-27

    旧約聖書の詩編74篇では、詩篇記者(おそらくはダビデ王)視点による、レビヤタンから救い出してくれた神様を讃美している内容です。一方で、次に提示している詩編104:26では、海に生きる巨大生物のひとつとして登場しています。悪としてのレビヤタンではなく、あらゆる生き物はすべて神様の手の中にいるという意味です。レビヤタンと一言でいえど、文中での扱い方が異なっているのもポイント。


    イザヤ書にて

    レビヤタンとは

    イザヤ書27:1では、レビヤタンは終末において主なる神様が滅ぼす敵として描かれます。

    その日、主は堅く大いなる強いつるぎで逃げるへびレビヤタン、曲りくねるへびレビヤタンを罰し、また海におる龍を殺される。

    旧約聖書 イザヤ書 27:1

    その日とは、主の御再臨の日でしょう。この世の終わりであり、天の御国へ続く始まりの日でもあります。少し話がずれましたが、ここでのレビヤタンは悪の象徴であり、「竜(龍)=サタン」です。


    ヨブ記にて

    ヨブ記40–41章は、レビヤタンを詳細に描いています。炎を吐き、槍も通じない、圧倒的な力を持つ存在として描かれているのです。調べたところ、多くの学者は以下の3つが混合した存在と捉えます。

    1. ワニや巨大魚など実在の海洋生物
    2. 古代神話の海の怪物
    3. 神の力を示すための象徴的表現

    つまり、実在する怪物をモデルにしつつ、象徴的意味を強化した文学的存在として理解されます。


    古代オリエント文献のエビデンス

    レビヤタンとは

    レビヤタンの語源・背景を語るうえで欠かせないのが、紀元前13世紀頃のカナン地域で発見されたウガリット文書(ラサム・シャムラ文書)です。この文書に登場する海の怪物「ロタン(Lôtan)」は、レビヤタンと極めて似ているのです。

    ウガリット神話のロタンの特徴

    • 海の神ヤムに仕える巨大な生物
    • 七つの頭を持つ蛇の怪物
    • バアルという神が戦い、打ち倒す

    この構造は、詩編74篇の「レビヤタンの頭を砕いた」描写と驚くほど近似しています。ただし、クリスチャンの私としては「バアル」という神の存在といい、名称といい、背後にサタンを感じました。

    レビヤタンとロタン

    • レビヤタン(Leviathan)
    • ロタン(Lôtan)

    面白いことに、語形の近さや文化圏の連続性から、多くの聖書学者はレビヤタンはロタン神話の再解釈であると考えているようです。ただし、完全に同一の存在と断定できる証拠はまだありません。それはそうですよね。現代学術の正直な限界でもあります。


    バビロニア神話のエビデンス

    レビヤタンとは

    レビヤタン(=ロタン)とよく比較されるのが、バビロニアの創世神話 エヌマ・エリシュ に登場するティアマト(Tiamat)です。この名前は、もしかすると別の分野ではあるものの、聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。これを書いている私自身もあります。

    クリスチャンのなる前、私は占星術が大好きで研究をしていました。惑星や古代をスピリチュアル界隈で調べていくと、ティアマトには行き着く人もきっといるかと思います。ともかく話は脱線しましたが、バビロニア神話におけるティアマトとは、若い神マルドゥクに敗れ、その身体は世界創造の素材になったようです。あくまで神話で、作り話です。本当の神は主イエス・キリストのみという大前提を補足します。

    • 海の象徴
    • 混沌の象徴
    • 多頭の怪物?

    他、↑こういった象徴がティアマトにはあります。聖書でいうレビヤタンという海の混沌が、神様の権威に敗れるという古代オリエントの共通神話パターンと一致しますね。いずれも敵という見え方ができます。


    旧約聖書と新約聖書での表現

    神の子とは 聖書 ユダ

    レビヤタンという語自体は、旧約聖書にたびたび出てくるものの、新約聖書には単語としては出てきません。しかし、新約聖書では別の表現で登場しているのです。たとえば、ヨハネによる黙示録の「赤い大きな竜」として。黙示録12:9では、

    この巨大な龍、すなわち、悪魔とか、サタンとか呼ばれ、全世界を惑わす年を経たへびは、地に投げ落され、その使たちも、もろともに投げ落された。

    新約聖書 ヨハネの黙示録 12:9

    このように、明確に「竜=悪魔=サタン=へび」と定義されています。この世界の諸悪の要因にもなっている、創世記で登場したへび(霊的にサタンが乗り移ったともいえる)から、今現在にかけての惑わしの正体です。聖書のみなならず、古代の文献でも出てくる「海の怪物」は、単なるお伽話などではなく、神様に敵対する超自然的存在として裏付けがとれるのです。


    レビヤタンは実在の動物? 象徴?

    レビヤタンとは

    結論から言うと、特定の実在動物とは断定できません。ただ、一部では現代の動物に通ずる近しい類ともいえるかもしれません。

    • ワニ
    • クジラ
    • サメ
    • 絶滅した海生爬虫類、恐竜

    などをモデルにしている可能性を指摘する説があります。しかし、ヨブ記の描写は明らかに現実の動物を超えた神話的特徴を持ち、現実味がありません。どちらかというと、映画に出てくる怪物系なイメージの方が近しいかもしれません。例えば、ジュラシックワールドのモササウルス、ゴジラなど。学術界では以下の理解が主流です。


    神に支配される混沌の象徴

    ここまでの文献・聖書的証拠をまとめると、レビヤタンの本質は次のように整理できます。

    • 古代オリエント共通の「海の怪物」神話の系譜に属する
    • その原型はウガリット神話の「ロタン」
    • 聖書では、混沌や悪の象徴として描かれる
    • しかし、本物で唯一の神様が完全に支配し最終的に滅ぼす存在
    • 実在生物というより、文学的・象徴的存在かも

    つまりレビヤタンとは、神様の秩序に対する混沌の象徴であり、最終的には神に打ち砕かれる存在として聖書の中で特別な役割を果たしているのです。霊的には見えないサタンを表す姿なのかもしれませんね。強大で、人間にはまるで太刀打ちできない存在として・・・。


    レビヤタンとは
    引用元:https://youtu.be/j58rWsiH8nw?si=E-QZvwTR1ZpTs7NO

    \ 恐竜はレビヤタンから着想したのかも!? /

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