20代まではエンタメ大好きな私でしたが、30歳を迎える頃には「どれも似たり寄ったりだな」と飽き飽きしていました。現実問題もいろいろあり、ファンタジーだとかぶっとんだ話が子供じみているように感じたのです。しかし、ヴィンランド・サガは明らかに違いました。私は抑うつ状態のように「もう生きていても楽しいことはない」と思っていたのに、「そうか!生きる意味とはそういうことか」とハッとさせられたのです。もはや、心の栄養と成っています。人生に迷っている人や、生きることに疲れた人には特にオススメの漫画(原作)・アニメです。
ヴィンランド・サガのあらすじ

舞台はおおよそ11世紀初頭。剣が武器であり、奴隷が当たり前のようにいる時代です。この作品の根幹になるのは、北欧の海の民「ヴァイキング(ノルマン人)」。彼らはヨーロッパ中で暴れ、勢力を広げて、殺しも平気で行ってしまう暴力と略奪に満ちていました。

この物語には、実在の歴史人物が登場します。特にクヌートは実際にイングランドを統治した王で、物語の中でも非常に印象的な存在感を出しています。個人的にはすごく気になるキャラの一人です。
- トルフィン(実在の探検家がモデル)
- トールズ(モデル的存在)
- クヌート(後のイングランド王)
- アシェラッド(北欧の民話の灰かぶりの少年ネタ)
- トルケル(史実にいた背が異常に高い戦闘狂)
圧倒的な名言「敵などいない」

これは、無敵だからという意味ではありません。そういう力の誇示や勝ち負けとは違うのは、それとなく察することができると思います。この「敵はいない」「傷つけていい人間なんていないんだ」といった言葉は、作中の軸にもなる大事なフレーズなのです。この意味を作品全体をかけて追体験していくのが、ヴィンランド・サガの一番の魅力なのかもしれません。誰もが考えさせられる、身近かつ普遍的なテーマです。感動もので、震えます。
聖書では、「人をゆるす」ことをイエス様が大衆に語っている場面があります。これは今も昔も変わらず、大事だけれど難しいテーマですよね。少し話がそれますが、私は人を許せないことが度々あります。怒りがぶわっと湧くことも多々。それでも、イエス様は言います。
もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。 もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。
新約聖書 マタイによる福音書 6:14-15
みんな何かの奴隷

作中では、奴隷もまた一つのテーマです。奴隷編という章まであるくらい、考えさせられるテーマです。時代として、11世紀の北欧では奴隷はごく当たり前に存在していました。現代の感覚だと衝撃ですが、当時は「特別なこと」ではなく、社会の一部として普通に存在していた制度です。
主なルートはかなりシンプルです。戦争や略奪で捕まえた人、借金を返せなくなった人、誘拐・人身売買など。ひどい話ですが、これがごく当たり前な野蛮な時代でした。
しかし、もう一つの裏テーマとして、「みんな何かの奴隷」ということ。富める者も、また何かの奴隷なのです。金の亡者もいれば、復讐の鬼と化している者も。地位や名誉のためならば何でもする者もいれば、多数をとり少数を切り捨てる者も。
それでも「生きよ」と神様は言う

略奪が当たり前のように行われるこの世界で、主人公トルフィンや、その他多くの人々が苦悩しています。その一つが「生きる」ということ。「なぜ生きなければならないの?」と限界に達して呟く者もいれば、「ここらで人生終わらせるのもあり」みたいなことを言う者もいます。
生きるとは何だろうか、何の意味があるのだろうか・・・それを心の中で問いながら、それでも生きていく人の歩みこそが、ヴィンランド・サガです。綺麗に生きている人などいません。いや、できません。みんな何かに躓き、悲しみ、苦しみ、それでも笑い、そして泣き、少しずつ成長をしていくのです。
私がヴィンランド・サガが大好きになった理由

通常ならば、漫画をこのブログで紹介することはありません。それでも紹介したいのは、もはやこれは漫画の枠に収まっていないから。ストーリーや伝えたい軸がしっかりしていて、かつ心をゆさぶる感動があり、とにかく非常に完成度が高いです(そして完結済み!)。一言で言うならば、生きることの意味を哲学的に学べる作品だとも思っています。
私の話になりますが、この作品に出会ったのは抑うつ・適応障害になった時です。いわゆる、心の病です。生きることに疲れていた頃でした。そんな時、一体何が私を生かすのか、生きる糧となるのか・・・ヴィンランド・サガは追体験のように私に「それでも生きよ」と教えてくれました。もっと言うならば、神様がヴィンランド・サガを通して教えてくれたようにも思えるのです。空っぽになってしまった空虚な私には、グッと響いたのです。
それに、この作品そのものは大まかに史実を元にしていますから、人間の歴史を知る一つでもあります。勉強にもなります。だって、イングランドやデンマークの歴史って触れないでしょう?日本人の私には関係ないとかではなく、同じ人間として学ぶべきことがたくさんあります。問いの多い作品です。現代は現代で問題があるけれど、昔は昔で別にあり、人間はいつの時代も苦悩して、それでも生きていることに感動しました。生きるって、もうそれだけですごいなぁと。いや本当に。
ヴィンランド・サガのおすすめの見方
①漫画で全巻一気見する
原作は漫画ですので、しかも完結しておりますので、全巻買って読むのが一番でしょう。全1〜29巻です。個人的には細かい描写もあるので、デジタル(Kindleなど)で一気に読む方が楽しいかなと。

ただ、もう一つおすすめの見方があります。それは、アニメ+漫画です。アニメは全巻分ではないのですが、クオリティ高く制作されています。進撃の巨人などで有名なMAPPAが制作されているなど、かなりの映像美です。
②アニメ+漫画で見る
- シーズン1 (2019年、WIT STUDIO制作): 少年トルフィンが戦場を生き抜く「復讐編」。
- シーズン2 (2023年、MAPPA制作): 奴隷となったトルフィンが真の平和を求める「奴隷編」。

ちなみに、アニメは14巻分なので、続きは漫画15巻から読むのもアリです。綺麗に繋がるので、「アニメ2シーズン分+漫画15巻〜29巻」で読破することもできます。

個人的には、アニメから見るのがオススメです。何の知識も特に入れずに、いきなり見ていただきたいくらいのが本音です。びっくりさせられますよ・・・!初っ端からクオリティが高いので、ぜひアニメも原作の漫画もご覧くださいね。

『隣り人を愛し、敵を憎め』と言われていたことは、あなたがたの聞いているところである。 しかし、わたしはあなたがたに言う。敵を愛し、迫害する者のために祈れ。 こうして、天にいますあなたがたの父の子となるためである。天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さるからである。
新約聖書 マタイによる福音書 5:43-45


